遺産分割

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遺産分割

【1】遺産分割とは

遺産分割とは、相続の開始によって、相続人の共同所有に属している相続財産の全部又は一部を、各相続人の単独所有もしくは新たな共有関係に移行させる手続のことです。

相続の開始と同時に、被相続人の財産は相続人に移転します。相続人が1人の場合は、遺産は相続人の単独所有になり、分割の問題は生じませんが、相続人が数人ある場合は、遺産の共同所有関係が生じていることになりますので、いずれ各相続人に確定的に帰属させる手続が必要となります。

【2】遺産分割の基準

1.実質的基準

遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して行われます。
遺産分割の経済的基準として相続分という基準がありますが、遺産を構成する具体的財産には、不動産、動産、債権その他多種多様のものがあり、土地といっても宅地、山林、農地等によって全く性質が異なります。また、相続人も年齢、職業、収入、健康状態等、多種多様です。
したがって、遺産分割においては、相続の背景となる多種多様の事情も考慮して分割することとなります。

2.相続分との関係

被相続人は、遺言で共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができ(指定相続分)、この指定がない場合には民法により相続人間の相続分が定められています(法定相続分)。
遺産分割において、相続人が相続分を変更し、自由に分割してもよいのかが問題となります。遺産分割審判においては、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して遺産分割を行なうものの、これは遺産分割を実行する際の指針を定めたものであり、各人の最終的な取り分の割合は相続分に従わなければならないという考え方が原則です。
すなわち、建物を現に居住している者に取得させたり、農地を農業従事者に取得させたりする配慮はするものの、相続人間に不均衡が生じる場合に、預金等その他の遺産で均衡をとるような指針で分割を行い、相続分そのものを変更することまでは許されていません。
もっとも、遺産分割調停や相続人間における分割協議は、相続人の合意を目指す手続ですから、合意が成立する限り、相続分とは異なる観点から自由に分割でき、特定の相続人の取得分をゼロとする分割協議も有効と考えられています。

【3】遺産分割の方法

遺産分割の方法には、遺言による分割、協議による分割、調停による分割、審判による分割の4種類があります。

1.遺言による分割

被相続人は、遺言で分割の方法を定め、もしくはこれを定めることを第三者に委託することができます。例えば、「妻には自宅土地建物を、長男には田畑を、長女には現金1,000万円を相続させる」 というように、分割の具体的な方法、すなわち、各相続人の取得すべき遺産を具体的に定めることです。
また、個々の財産をその性質や形状を変更することなく相続人に配分する現物分割、相続人の一部にその相続分を超える財産を取得させ、他の相続人に対し債務を負担させる代償分割、遺産を売却処分してその価額を分配する換価分割、いずれによるべきかの指定もできます。なお、相続分の指定が無効であるとき、あるいは第三者が相当の期間内に指定をしない場合は、他の手続によることになります。

2.協議による分割

①内容

協議による分割は、裁判所が関与せずに、相続人全員の合意により遺産を分割する手続で、最も一般的な分割方法といえます。相続人は、被相続人が遺言で分割を禁じた場合を除き、いつでも協議で遺産の分割をすることができます。
協議の成立には、相続人全員の意思の合致が必要ですが、分割協議成立後に認知された子が現れた場合については、協議そのものをやり直す必要はなく、価額による支払請求が行われます。
相続人全員の意思の合致がある限り、分割の内容は相続人の自由に任されており、指定相続分あるいは法定相続分に従う必要はありません。したがって、特定の相続人の取得分をゼロとするような分割協議も有効と考えられています。
遺言執行者が指定されていない遺言が存在する場合でも、相続人全員の同意があれば、一定の範囲 (被相続人の意思を全く没却するものとはいえない範囲) で遺言と異なる分割協議をすることもできると考えられています。

②当事者

遺産分割協議の当事者は、相続人全員です。また、相続人と同一の権利義務を有する包括受遺者及び相続分の譲受人、包括遺贈の場合の遺言執行者も当事者となります。
これら当事者の一部を除外して分割協議を行った場合には、分割協議自体が無効とされる可能性があります。
これに対し、特定受遺者は、遺言の効力発生と同時にその財産を取得するため、遺産分割協議の当事者とはなりません。

③遺産分割協議書

協議が成立した場合、遺産分割協議書を作成するのが通常です。
不動産登記の際の名義変更の便宜を考えると、遺産分割協議書には各相続人が署名するとともに実印による押印がなされるべきでしょう。

3.調停による分割

①内容

相続人間で遺産分割の協議が調わないとき、又は、協議をすることができないときは、各相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができます。
協議が調わないとは、分割の方法について相続人間の意見が一致しない場合ほか、分割をするかしないかについての意見が一致しない場合も含みます。
家庭裁判所に対しては、まず調停を申し立てることが一般的ですが、直接審判の申立てをすることもできます。ただし、調停を経ずに審判を申立てた場合には、家庭裁判所が職権で事件を調停に付することができます。
調停は当事者となる相続人の合意にその基礎をおくものですから、実質的には家庭裁判所における調停委員会もしくは家事審判官のあっせんによる協議分割とみることができます。そのため、分割方法は法定相続分あるいは指定相続分に従う必要はないと考えられています。また、相続債務、遺産からの果実、遺産の管理費用及び相続税等の清算を調停手続の中で行うなど、その運用は柔軟になされています。

②申立ての手続

1)当事者:
遺産分割調停の当事者は、各相続人です。相続人と同一の権利義務を有する包括受遺者及び相続分の譲受人、包括遺贈の場合の遺言執行者も当事者となります。
これに対し、特定受遺者は、遺言の効力発生と同時にその遺産を取得するため、当事者とはなりません。
相手方のなかに行先不明の者がいる場合には、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に対して行い、財産管理人を調停手続に参加させる必要があります。

2)管轄裁判所:
調停の申立は、相手方の住所地又は当事者が合意で定める地を管轄する家庭裁判所に対して行います。相手方が複数存在し、住所地が異なるときは、その中のいずれの家庭裁判所に対しても申立てることができます。

3)調停手続:
遺産分割調停は、調停期日に、当事者その他の関係者を出頭させて非公開で行われます。申立人と相手方は、交互に調停室に入室し、個別に調停委員から事情聴取されることとなります。

分割の基準と態様
調停による遺産分割は、当事者間の合意に基礎をおく協議による分割の一種であると考えられ、分割の基準、方法、態様に制限はありません。
もっとも現実問題としては、相続分、特別受益、寄与分等の事情を考慮した分割方法によらなければ、調停の成立は困難な場合が多いでしょう。

隔地者等出頭困難な者がいる場合の手続の特則
当事者が遠隔の地に居住していたり、病気、老齢等の理由により、調停期日に出頭することが客観的に困難な場合、あらかじめ調停委員会又は家庭裁判所から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が期日に出頭してその調停条項案を受諾したときは、当事者間に合意が成立したものとみなされます。

4)調停手続の終了

調停の成立
調停において当事者間に合意が成立し、調停機関 (調停委員会もしくは裁判所) がその合意が相当であると認めてこれを調停調書に記載することにより調停が成立します。
調停が成立すると、確定した審判と同一の効力を有します。
金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の具体的給付義務を定めた調停調書の記載は、執行力のある債務名義と同一の効力を有しますので、執行文等の付与を要することなく直ちに強制執行をすることができます。
相続人は調停調書の正本を相続を証する書面として添付し、単独で登記申請をすることができます。

調停の不成立 (不調)
当事者間に合意の成立する見込みがない場合や成立した合意が相当でないと認められる場合には、調停機関は調停を成立しないものとして事件を終了させることができます。これを調停の不成立 (不調) といいます。
合意の成立する見込みがあるかないかの判断は、調停機関によってなされます。合意が相当でない場合とは、公序良俗に反する合意事項を内容とする場合等、正義、公平の観点から許されない場合をいいます。
調停が不調となった場合には、調停の申立ての時に遺産分割の審判の申立てがあったものとみなされ、遺産分割事件について審判手続が開始することになります。
審判手続の開始にあたって、さらなる申立ては不要で、実務上は調停事件を取り扱った裁判所が審判事件を行うことになっています。

調停申立ての取下げ
申立人は、調停の成立又は不成立までの間であればいつでも遺産分割調停の取下げをすることができます。取下げの方式は、実務上は書面によっています。
取下げに理由はいりませんし、訴訟手続と異なり、相手方の同意も必要ありません。但し、審判から調停に付された事件においては、調停のみの取下げはできません。

4.審判による分割

①内容

遺産分割の協議が調わなかったり、協議ができないときは、各相続人は家庭裁判所に対して、遺産分割の審判を請求することができます。
遺産分割の調停を申立てたたものの、遺産分割調停が不成立となった場合、調停申立時に審判の申立てがあったものとみなされ、審判手続に移行します。
審判分割においては、家庭裁判所の審判官が、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、各相続人の相続分に反しないよう分割を決定します。協議や調停と異なり、当事者の合意がなくとも、分割方法が決定される点に審判の特色があります。

②申立ての手続

1)当事者
遺産分割審判の当事者は、各相続人です。相続人と同一の権利義務を有する包括受遺者及び相続分の譲受人、包括遺贈の場合の遺言執行者も当事者となります。
これに対し、特定受遺者は、遺言の効力発生と同時にその遺産を取得するため、当事者とはなりません。相手方のなかに行先不明の者がいる場合には、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に対して行い、財産管理人を審判手続に参加させる必要があります。

2)管轄裁判所
審判の申立は、被相続人の住所地又は相続開始地を管轄する家庭裁判所に対して行います。
調停が不成立となって審判に移行した場合には、原則として調停手続を行った家庭裁判所が審判手続を行いますが、相続財産の鑑定に著しい支障が生じる場合や尋問を要する参考人等が他の管轄家庭裁判所区域内に多数存在するなど、事件処理をするために適当であると認められる場合には、事件を移送することができます

3)審判手続
Ⅰ.審理手続
法律上は、審判官に加えて参与員の立ち合いが認められていますが、実務の運用では、家事審判官が単独で審判を行っています。
家事審判手続は、家庭の平和と健全な親族共同生活の維持を図るため、国家が後見的見地から遺産に関する関係に介入し、裁量的、合目的に具体的な分割方法を決定する手続です。そのため、通常の訴訟手続と異なり、家庭裁判所は、職権で事実の調査及び必要と認める証拠調べを行い、審理は非公開で行われます。また、やむを得ない事由がある場合を除き、事件の関係人自身が出頭することが要求されています

Ⅱ.分割の基準と態様
遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して行われます。
審判においては、分割協議や遺産分割調停と異なり、家庭裁判所が裁量により相続分を増減することは許されないとされています (最判昭36.9.6)。
分割の態様には、現物分割、換価分割、代償分割、共有分割、用益権設定による分割及びこれらを併用する等の方法があり、裁判官の裁量的判断により決定されることになります。

4)審判手続の終了
Ⅰ.審判の認容、却下
認容の審判は、申立てが適法であり、かつ遺産分割の処分をなすべきものと認められる場合になされるものです。
確定した審判により、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他給付を命ずるものについて、執行文の付与を要することなく直ちに強制執行することができます。
却下の審判は、申立てが不適用、又は分割の理由ないし必要がない場合になされるものです。
遺産分割審判は、告知を受けた日から起算して2週間が経過すると確定し効力を生じます。審判に対し、不服のある当事者は、この期間内に即時抗告をすることができます
抗告審が即時抗告の理由があると認めたときは、原審判を取消した上、事件を原審家庭裁判所に差し戻すのが原則であり、すでに事実関係が明らかであるなど例外的な場合には原審判を取り消して自ら審判に代わる裁判を行います。

Ⅱ.審判申立ての取下げ
申立人は、審判の確定前であればいつでも審判申立を取下げることができます。民事訴訟手続と異なり相手方の同意は不要です。
但し、数人が共同して申立てをしている場合には、全員による取下げが必要です。取下げの方式は、実務上は書面により行っています。

Ⅲ.調停の成立
審判から調停に付され、その調停が成立した場合には、審判は何らの手続を要せず当然に終了します。

【4】遺産分割の無効、取消、解除

1.無効

①当事者の意思表示に錯誤がある場合

遺産分割協議は、権利義務の変動を決定する契約の一種と考えられることから、当事者の意思表示の重要な事項につき錯誤がある場合には、錯誤無効の規定が適用され、無効となります。調停による分割も当事者の合意に基礎をおくものであるため、同様と考えられています。
但し、軽微な事情に関する錯誤は無効事由とはなりませんし、錯誤が重大な過失に基づくときは無効とはなりません。

②共同相続人の一部を除外して分割協議がなされた場合

1)戸籍上相続人であることが分割協議当時判明していた場合
遺産分割協議は、相続人全員の意思の合致によりなされなければなりません。したがって、戸籍上判明している相続人を除外してなされた遺産分割協議は無効です (昭和32年6月21日、家甲46号、最高裁判所家庭局長回答)。
また、包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有するとされていますので 包括受遺者を除外してなされた遺産分割協議も無効です。相続人から相続分を譲受けた者を除外してなされた遺産分割協議も無効と解されています。

2)分割協議後に相続人であることが判明した場合

失踪宣告の取消
失踪宣告により死亡したとみなされた者を除外して遺産分割協議がなされた後、生存していることが判明し、失踪宣告が取り消された場合でも、分割協議自体が無効になることはありません。
失踪宣告の取消を受けた者は、他の相続人に対し、現に利益を受けている限度において、その返還を求めることができます。

認知された子を除外した場合
相続開始後、認知によって相続人となった者が遺産分割の無効を主張したり分割のやり直しを求めることはできず、価額のみによる支払請求権を有するにすぎません。

その他の場合
相続人である胎児が出生した場合や、離婚無効判決、離縁無効判決がなされた場合等が考えられます。
この場合、遺産分割協議そのものの無効を主張できるのか、認知のように価額賠償のみが認められるのかは問題となりますが、遺産分割協議は、相続人全員による合意を基礎としていますから、民法が規定していない場合にまで価額賠償による解決を及ぼすべきではなく、相続人を除外してなされた遺産分割として無効とすべきであると考えられます。
判例も、母子関係存在確認の訴えで勝訴した子が存する場合につき、認知に関する価額賠償の規定を類推適用することはできないとしています (最判昭54.3.23)。

3)相続人でない者を加えて遺産分割協議がなされた場合

遺産分割当時から相続人でない者が相続人として分割協議に加わっている場合と、分割協議当時は一応相続人であるとされていた者が、協議成立後に、婚姻無効判決、縁組無効判決等の確定によって相続資格を喪失する場合があります。
相続人でない者を遺産分割協議に加えた結果、正当な相続人が遺産分割協議から排除された結果となる場合には、相続人の一部を除外してなされた遺産分割協議といえ、無効と解すべきです (大阪地判昭37.4.26)。
一方、相続順位に変更をきたさない場合には、非相続人に分割された財産を取り戻したうえで、これを未分割遺産として真正相続人間で分割すれば足りるとする考え方が主流です。

4)遺産の一部を除外して分割した場合

判例は、分割協議の目的とした一部の遺産と残余財産との区別や両者を分離して処理することについての当事者の合意が不十分である場合、協議は無効であるとしています (高松高判昭48.11.7)。
一方、遺産全体に照らすと、除外した遺産がごく一部であって、当初の遺産分割を無効とするまでの必要がないときは、当初の遺産分割は有効で、後に未分割遺産のみを分割することも許されると解すべきでしょう。

5)非遺産を分割の対象とした場合

最高裁判所昭和41年3月26日判決は、遺産分割の対象とされた財産が民事訴訟手続において非遺産であると認定された場合について、分割の審判はその限度において効力を失うと判示しています。すなわち、非遺産を分割の対象とした場合でも遺産分割全部が無効になるとする必要はなく、非遺産の部分についてのみ効力を失うだけで、あとは相続人間の担保責任の問題として処理すれば足りると解されています。

6)分割協議後に遺言の存在が判明した場合

遺言により相続人資格が変更される場合
遺言により認知や廃除をしていた場合など、相続人資格が変更される場合があります。
その結果、相続人の一部を除外してなされた分割協議、相続人でない者を加えてなされた分割となる場合には、遺産分割の効力が無効になります。

遺贈がなされていた場合
遺産の全てを遺贈している場合には、遺産分割の対象たる財産は存在しないことになり、遺産分割は無効となります。
非相続人に対して、一部の財産の包括遺贈がなされている場合、包括受遺者を除外してなされた遺産分割協議は無効となります。
相続人に対して一部の財産の包括遺贈がなされている場合には、各相続人がこのような遺言があることを知っていれば、そのような遺産分割協議をしていなかったであろうと考えられる場合に、錯誤により無効となります。
特定遺贈がなされていた場合には、遺言の効力発生と同時に受遺者がその財産を取得することになります。したがって、その財産は遺産分割の対象ではなく、その財産に関する限り分割協議は無効です。さらに、財産の遺産に占める割合、重要性等からして、分割協議全体が無効となる場合もありえます。

相続分の指定、遺産分割方法の指定、遺産分割の禁止の遺言が存することが判明した場合
分割協議の当事者が、このような遺言があることを知っていれば当初のような分割協議をすることはなかったと考えられる場合には、錯誤により無効となりえます。

2.取消

遺産分割協議に際して詐欺行為や、強迫行為があれば、それらを理由に取り消すことができます。
また、遺産分割そのものの瑕疵ではありませんが、遺産分割を詐害行為取消権によって取り消すこともできると考えられています。

3.解除

債務不履行による解除
遺産分割協議において、相続人の1人がある遺産を取得する代わりに、他の相続人に対し債務を負担することがあります (代償分割)。この代償債務の不履行があったときに、他の相続人は債務不履行を理由に遺産分割協議そのものを解除できるかが問題となります。
最高裁判所平成元年2月9日判決は、老親を扶養するという債務の不履行が問題となった事案につき、遺産分割はその性質上協議の成立とともに終了し、その後は協議において特定の債務を負担した相続人とその債権を取得した相続人間の債権債務関係が残るだけと解すべきであること、遡及効を有する再度の遺産分割を余儀なくすると、法的安定性が著しく害されることを理由に、分割協議そのものの解除を否定しています

合意解除
最高裁判所平成2年9月27日判決は、共同相続人の全員が既に成立している遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をなしうることは、妨げられるものではないと述べています。
ただし、合意解除及び再分割をした場合に、税務上、分割後の贈与であると認定されて贈与税が課されるおそれがありますので、再分割をする際には慎重な配慮が必要といえます。

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