登記をしないままにしておくのはよくありません。
思わぬトラブルに巻き込まれないためにも、早めの登記をお勧めいたします!
相続が発生した場合、不動産の名義を変更するために、登記をする必要があります。登記自体には期限はありませんが、そのまま放置しておくことはトラブルの元です!早めに専門家へ相談されることをお勧めします。
まずは第一に、関係が複雑になってしまいます。
登記をしないでいる間に、相続人が亡くなってしまうケースはよくあります。
その場合、対象者にも相続が発生し、関係が複雑になります。下の図をご確認ください。
原則としては、「父」の相続人は母・兄・弟の3名です。
しかし、登記をしないまま弟が亡くなった場合、弟にも相続が発生し、第2相続の当事者(奥さん・子・子)が、弟の第1相続の当事者としての地位を受け継ぐことになり、手続きを進めることになります。この場合、第2相続の当事者は元々第1相続の当事者ではなかったため、事情がうまく伝わらず、話が進まない、こじれるといったケースが生じてきます。
さらに、弟が生きているうちに、基本的な合意は出来ていたものの遺産分割協議書を作成していなかったという場合、第2相続の当事者全員が協議書に署名押印しなければならないため、弟の存命中に決まっていたことでも、当事者が納得しなければ、再度話し合いをする必要性も生じてきます。また、当事者が未成年だった場合は、裁判所に代理人を選んでももらうよう申立てをする必要もあります。
実際にはこのような場合に新たに相続人となった人が火種となり、いわゆる「争族」となってしまうケースが少なくありません。
登記をしないでいる間に、さらに相続が発生した場合、他の相続人の債権者が法定どおりの登記をし、差押の登記をすることもあります。当事者だけでなく第三者も関与してくる話となってしまうのです。
法定相続分で登記申請を行う場合、複数人の中の1人の相続人からでも申請することができます。この法定相続分の登記については、その債権者が、代位して申請することもできます。税金を滞納している場合に、「市」が代位して法定相続分の登記をし、その持分に対して差押えをするケースはよくあります。
公正証書などの遺言書があれば、登記をしなくてもトラブルは起こらないと思っていませんか?
例えば、父の遺言書が『弟に全部の財産を与える』という内容であれば、本来はこの遺言を元に登記を申請することができます。しかし、遺言書があればいいと考えて登記申請をしていなかったとすると、母と兄が勝手に法定相続分で登記申請をしてしまうこともあり得ます。そうなると、登記を遺言書のとおりにするには、母と兄との協議又は裁判をしなければならないのです。
このような事態を避けるためにも、遺言書に基づき、すぐに登記申請をしておきましょう。